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【イベント】オンライン・セミナー「2026年世界水の日~水とジェンダー」の開催報告

2026年3月18日(水)16:00-17:00、世界水の日(3月22日)を記念して、水と衛生の課題においてジェンダー平等を主流化するためのアプローチに関するオンライン・セミナー(英語)を開催しました。

さて、「世界水の日」は、1992年6月にブラジルで開催された地球サミット(環境と開発に関する国連会議)で採択された21世紀へ向けての行動計画(アジェンダ21)のなかで制定が勧告されました。そして、同年12月の国連総会本会議において、1993年から毎年3月22日を「世界水の日」とすることが決議されたのです。2026年「世界水の日」のテーマは「水とジェンダー」です。

今回の「2026年世界水の日~水とジェンダー」
セミナーは、国立健康危機管理研究機構(JIHS)のグローバルヘルス政策研究所(iGHP)が、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)、国連人口基金駐日事務所、地球環境戦略研究機構(IGES)、笹川平和財団(SPF)、東京大学未来ビジョン研究センター、早稲田大学グローバルヘルス研究所と共催しました。

開会にあたって、UNU-IASの山口しのぶ所長は、世界で21億人が安全な水へのアクセスをもたないこと、45億人が適切な衛生施設を使えないことに思いを寄せました。そして今年は、持続可能な開発目標(SDGs)の目標6「安全な水とトイレを世界中に」と目標5「ジェンダー平等を実現しよう」との相互関連性を集中的に議論する機会であることを伝えました。多くの国や地域において、水や衛生の施設管理をめぐる意思決定において、女性の意見が反映されていない結果、女性や女子が不利な立場に置かれていることを指摘しました。

パネルディスカッションでは、まず、iGHPの勝間靖グローバルヘルス外交・ガバナンス研究科長が、国際人権の視点から、水と衛生への権利の現状を把握することが重要であると論じました。具体的には、AAAQフレームワークを用いて、利用可能性(Availability)、アクセス可能性(Accessibility)、容認性(Acceptability)、質(Quality)について、ジェンダー格差の所在をつかみ、その原因を分析することが求められます。また、鉱山開発による水汚染とそれによる健康障害が各地で報告されていることから、国際的な規範の国内的実施と、鉱工業企業の社会的責任の発展が求められていると指摘しました。

国連人口基金駐日事務所の成田詠子所長は、ジェンダーの視点から、水災害において女性のニーズに応える必要性を論じました。バングラデシュでの洪水を事例として、女性のための「尊厳キット」(生理用品などの衛生セット)をあらかじめ準備しておき、災害時に配布できる体制の重要性を報告しました。また、災害に起因する困窮から早婚が発生しがちであることも指摘しました。

IGESで「持続可能な消費と生産」リサーチ・ディレクターを務めるバオ・ファン・ンゴク氏は、環境の視点から、ASEANの7つの河川における「河川流域報告」で用いられる指標において、ジェンダー別のデータ収集が進められていることを報告しました。これによって、モニタリングや復元といった作業における女性の雇用の現状も把握できるようになっています。

SPFの前川美湖主任研究員は、災害リスク削減の視点から、2013年にフィリピンのミンダナオ島東沖で発生したスーパー台風ハイエン(30号)のあとの復興における水と衛生の課題について報告しました。より良い復興(Build Back Better)のためには、水や衛生の施設管理をめぐる意思決定に女性が参加できるように確保することが必要だと論じました。

東京大学の福士謙介未来ビジョン研究センター長は、工学的視点から、災害時においても、女性や子どもに使いやすい、太陽光発電や膜分離活性汚泥法によるトイレを示しました。平常時においても災害時においても共通して使える、このような革新的なトイレは、技術的には可能であると報告しました。他方、費用の面での課題はまだ残っているとのことでした。

パネリスト間の活発な議論、参加者からのコメントや質問へのパネリストからの応答をとおして、「水とジェンダー」の課題への認識が高まり、引き続き研究を進めていくことの共通認識を確認したのち、2026年「世界水の日」を記念するセミナーを閉会しました。